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2009年5月

2009年5月20日 (水)

なぜ査定結果に納得できないのか?「ストレステスト懐疑論」の理由と本質

ダイヤモンドオンラインから

なぜ査定結果に納得できないのか?「ストレステスト懐疑論」の理由と本質

5月8日、FRB(連邦準備理事会)は、ようやく米国主要金融機関19行のストレステスト(資産査定)の結果を公表した。

 ストレステストとは、金融機関を取り巻く経済環境が予想以上に「悪化=ストレスが発生」した場合、「金融機関が保有する資産からどれだけの損失が発生するか」を計測するテストだ。

 何故今、ストレステストを行なうかといえば、サブプライム問題に端を発した経済状況の悪化によって、「米国の大手金融機関がどれほど体力を低下させているか」を調べるためだ。

 実際には、150人に上る金融のプロが、約2ヵ月かけてそれぞれの銀行の資産内容をすべて克明に調査する。

 テストの結果、対象となった19行のうち9行が合格。つまり、「現在の財務内容ままでも、経済の一段の悪化にも耐えられる体力がある」と認められた。

 一方、残りの10行については、今のままで体力が十分ではない可能性があり、今後資本金を積み増して体力を強化することが求められた。

 この結果は、ほぼ事前の予想通りで、多くの関係者は「テストの結果を見て安心した」と胸を撫で下ろした。資本増強を求められた10行の金融機関についても、「実現可能性の高い資本増強さえ行なえば、今後の業務遂行に支障はない」という一種のお墨付きを、金融当局が与えたからだ。

 それは、結果発表に気をもんでいた多くの市場関係者を安堵させたことは間違いない。それをきっかけにして、株式市場で一時的に金融株が買い戻され、市場全体が堅調な展開を示したことを見ても、明らかだ。

 しかし一方で、その結果に懐疑的な見方が根強くあることも見逃せない。一部の金融専門家からは、「今回のテストの前提となるシナリオが甘すぎる」などの批判が出ている。

 また、「今回のテスト結果は、元々政策当局が市場を安心させるために、“結果ありき”の逆算方式で出したのではないか」などの見方も出ている。

 つまり、今回の結果だけを見て、「これで米国の銀行は大丈夫だ」と結論づけることは、時期尚早だろう。今後の展開を注意深く見守ることが、必要になる。今回は、結果公表時から噴出している「ストレステスト懐疑論」の理由と本質について、考えてみよう。

--- 中略 ---

“結果ありき”のテスト結果が
残した「割り切れない不安」

 今回、資本増強を要請された銀行は、「勘定上、すでに注入されている公的資金の優先株式を普通株式に転換することによって、資本増強が行なわれた」と判断されることになっている。

 これは単純に考えると、“不合格”になった銀行は、政府に頼んで優先株式を普通株式名義に変えるだけでことが済むことになる。むろん、それによって当該銀行は、政府の株式持ち分が増加するため、当局からの干渉をより多く受けるデメリットが生じる。

 しかしそれさえ我慢すれば、政府から“安心”のお墨付きを受けることができるわけだ。

 また、優先株式から普通株式に転換することによって、「優先株式の高い配当負担を軽減できる」というメリットも享受できる。それは、収益情況の苦しい銀行にとって、大きな“福音”になることは間違いない。

 こうして見てくると、厳正に行なわれるべきストレステストの実施について、FRBや政府の政策意図が感じられる部分は、やはりどうしても少なくない。それが、関係者から「“結果ありき”のストレステスト」と揶揄される一因になっている。

 問題は、政策当局の意図によって、本当にテスト結果に何らかの“化粧”が施されているとすれば、いずれかの時点でその化粧が剥げ落ちる可能性が高いことだ。それが現実味を帯びてくるようだと、米国、さらには世界の金融市場にマイナスの影響を及ぼすことだろう。

 われわれはそのリスクを、常に頭のどこかに入れて置いた方がよさそうだ。

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2009年5月12日 (火)

ストレステスト結果の受け止め方

こんばんは。仕事が非常に忙しくて、なかなかブログ更新できず、すみません。

さて、マーケット、ようやく雲の隙間から明るい兆しが見え始めた?

もっとも短期的には利益確定にはひとつの良いタイミングかな。

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堀古氏のレポートから

ストレステスト結果の受け止め方

昨日、待ちに待ったストレステストの結果が発表されました。ストレステストの行方を巡って市場が揺れに揺れたこの3ヶ月間でした。ストレステストの実施が明らかになったのが2月初、そもそもガイトナー米財務長官が「銀行救済策」を発表するはずだった記者会見で発表し、寧ろ金融危機に対する市場の懸念を増幅する結果となりました。その後AIG、シティグループが次々と実質国有化、ストレステストの結果によっては更なる国有化に繋がるとの懸念から3月初に米国株式は安値を付けるに至ったのでした。

そもそもこのストレステストが実施された理由を思い出してみましょう。不良債権問題解決に必要な、(1)不良債権の価額を把握、(2)それに伴って発生する金融機関の資本不足を補う、(3)金融機関の新規貸出し増加、というステップのうち、(1)に過ぎません。従ってストレステストの結果をもって、アメリカの不良債権問題が解決する、と期待するのはそもそも見当違いなのです。ただ、(1)に過ぎないとはいえ、これによって昨年9月のリーマン・ショック以降市場が抱いていた余計なリスク、カウンターパーティ(取引相手)リスクが大きく後退するという成果はあったと思います。

リーマンが破綻した当日にテレビ東京の番組に出演させていただいた私は、「今後発生すると見られる大手金融機関の連鎖倒産、またそれによって金融システムが麻痺する可能性は大きなリスクだ」とコメントしました。実際直後にAIGが実質破綻、メリルリンチ、ゴールドマンサックス、モルガンスタンレーが次々と破綻のリスクに直面する異常事態となりました。そしてそのリスクはこの3月まで後退する事はありませんでした。今回ストレステストによって、初めてこのカウンターパーティ・リスクが大きく後退したのは成果だと言えます。即ち、個別金融機関ベースでは今後資本増強や資産売却など課題は多いものの、だからといってそれが金融システム全体を揺るがす事態となる可能性は当面無くなったと見て良いでしょう。市場の不安心理を表す変動率指数は本日時点で31にまで低下していますが、これはリーマンが破綻した日と同じ水準です。このようにカウンターパーティ・リスクが大きく後退した事は数字のうえでも明らかに見てとれます。

一方で、アメリカの抱える不良債権問題の解決はこれからです。そもそも今回のストレステストには2つの大きな問題があります。第一に、「ストレスのかかった」の経済状況の見通しです。例えば2009年GDP-3.3%、失業率8.9%、住宅価格-22%という「ストレスのかかった」前提に対し、実際は2009年第1四半期GDP-6.1%、4月失業率8.9%、住宅価格下落率の20%超もほぼ確実な情勢です。現在の経済状況が既に「ストレスのかかった」前提に近くなってしまっており、経済に更なるストレスがかかった場合に負のスパイラルに陥ってしまう可能性は否定できません。

第二に、今回当局は「有形普通株自己資本比率」の4%をストレステストの基準としていた事が明らかになりました。4%というのは、殆どの金融機関がいざとなれば既存の優先株を普通株に転換すれば達成できる基準です。しかしそもそも、今後も不良債権の増加が確実視される中、4%で足りるのかという問題は残ります。またメガバンクの総資産が軒並み200兆円近くに上る中、この基準が1%上がるだけで兆円単位の資本不足が生じる事になります。別の見方をすれば、今回当局が基準を(5%ではなく)4%に設定してくれたのはラッキーだったとも言える訳です。

このように、今回のストレステストはカウンターパーティ・リスクという大きなリスクを軽減させる事に成功したものの、中長期的な不良債権問題を解決したものではない、という認識が大切だと思いますただ市場に目を転じてみると、リーマン破綻当日と今日を比べると、変動率指数が同じである一方、リーマン破綻当日のダウ終値が11,000ドルであったのに対して今日は8,400ドル台です。全て回復するのは困難にしても、当面カウンターパーティ・リスクの後退を楽しめる余地はかなり残っているのではないかと考えています。

(2009年5月8日記)

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少し日がたってますが、中原圭介氏のコラムから

今年と来年の大雑把な株価予想

日経平均株価は昨年10月安値と今年3月安値である7000円でダブルボトムを形成しました。そのことにより、世界的な景気後退の底打ちは確認できていないものの、日経平均株価の下降トレンドは当面の底を打った可能性が出てきたことを、3/30の記事では書きました。

一方で、昨年11月高値の9500円、今年1月高値の9300円が強力な上値抵抗ラインとして意識されています。たとえ好材料が重なり、9500円を一時オーバーシュートすることがあったとしても、高値は10000円が精一杯になるのではと見ています。

よって、日経平均株価は高値のレンジが9000円~10000円、安値のレンジが7000円~8000円のボックス圏相場に突入した可能性が高まっています。

世界的な景気対策の効果が切れる兆候が見られるまでに、アメリカの住宅価格の下落が止まるのか止まらないのか、金融機関が不良資産をバランスシートから切り離すことが進むのか進まないのか、これらの結果によって、来年以降の株価の予想は全く変わってきます。

短期的には株価と景気はぴったりと一致するわけではありませんが、長期的には一致する傾向があります。

悪いシナリオとしてアメリカの住宅価格の下落が続き、ストレステストの資産査定の結果を甘めにしてしまったとしたら、金融機関は不良資産をバランスシートから切り離すことをせずに、金融の正常化は程遠いものとなってしまいます。その場合は来年以降の株価は当面の安値7000円を下回ってくることも考えられます。

逆に良いシナリオとしてアメリカの住宅価格の下落が止まり、金融機関のバランスシートの健全化が進めば、ボックス圏相場を維持するか、本格的な上昇相場に転じる可能性が残されています。

4月上旬に、政府の関係機関が最大50兆円の株式等を市場から買う「危機対応措置」を設け、リーマンショック以来の株価急落のような異常時に限り買い出動することを示唆しました。ですので、7000円はかなり強い下値抵抗ラインとして考えることもできます。

しかし歴史上、政府の株価対策が効果を発揮したという記憶が、私にはありません。仮に悪いシナリオになった時に、この措置の規模は十分な額に思われますが、成功するか否かは未知数な政策です。

アメリカでは、金融機関の不良資産買取策の実効性がまだ判断できるほど運用面の具体的な方法が明確になっていませんし、GMの救済問題の結果がどうなるのかも見えていません。一寸先は闇の難しい相場が続きそうです。
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