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2009年3月16日 (月)

戻り継続、過度の金融不安修正

【日本株週間展望】戻り継続、過度の金融不安修正-外国人売りは注意

3月13日(ブルームバーグ):3月第3週(16-19日)の日本株相場は、戻り基調が継続する見通し。米国金融機関の経営問題に対する過度の悲観論が後退しており、買い戻しの動きが相場全体を押し上げそうだ。政府・与党による株価対策への期待も支えになる。ただ、米金融機関へのストレステスト(健全性審査)の影響などで、外国人投資家の売りが継続しており、反発力が限られる可能性もある。

  農林中金全共連アセットマネジメント運用部の中村一也次長は、「一進一退の展開は続くが、月内は下げ過ぎた戻りが継続しそうだ。ただ、外国人の売りが続き、どこで止まるかがポイント」と指摘する。

  3月2週(9-13日)のTOPIXは、前の週に比べ0.4%高の 724.30ポイントで終了。一時は698.46ポイントまで下げ、1983年 12月以来の安値を更新する場面があったものの、米金融不安に対する悲観論が後退し、買い戻しが優勢となった。

            1-2月は黒字

  「1-2月は黒字だった」――。米銀大手バンク・オブ・アメリカ(BOA)のケネス・ルイス最高経営責任者(CEO)は12日、ボストンでの講演後に記者団に対しこう述べた。通期についても、黒字の自信を示し、追加の公的資金なしで金融危機を乗り越えることは可能と強調した。シティグループ、JPモルガン・チェースと、今週は米銀大手のCEOによる業績の強気発言が相次ぎ、相場の足を引っ張り続けてきた米金融機関の経営懸念が和らいだ。

  金融不安の後退から、12年半ぶりの安値に沈んでいた米S&P 500種株価指数が、12日までの4日間で前の週末に比べて9.9%高となるなど米株式相場は急伸。市場では、「過剰なリスクを考えていた投資家が見方を変えてきた」(いちよし投資顧問の秋野充成運用部長)との解説が聞かれ、ショートカバー(売り方の買い戻し)が先行、日経平均は2カ月ぶりに投資家の短中期的な平均売買コストである25日移動平均線(7488円)を上回って今週の取引を終えた。

  東海東京調査センターの中井裕幸常務は、「米金融機関の問題はすべて解決したわけではないが、状況は徐々に変わってきている。時価会計の凍結期待なども出ており、悲観論が強かっただけに、買い戻しはしばらく続きそうだ」と見る。

       時価会計見直し論議、国内株価対策

  投資家の間で期待が高まっているのが、米金融機関に適用している時価会計基準の見直しだ。「時価会計による数値は誤解を生んだり、あまり有益でなくなる恐れがある」――。10日にバーナンキ米連邦準備制度理事会(FRB)議長が講演で見直しに言及したことで、米金融界では議論が再燃している。見直しは財務不信につながる可能性があるが、証券化商品などは取引が成立しなくなっており、時価会計を続けると、金融不安を長引かせる要因になるためだ。

  米ニューヨーク大学スターン経営大学院のヌリエル・ルービニ教授が1月下旬に発表した試算によると、米金融機関の損失額は3兆6000 億ドル(約320兆円)。時価会計基準の適用を緩和し、損失額が減額されれば、新たに追加する公的資金の必要額も少なくて済む可能性が浮上する。来週17、18日には米連邦公開市場委員会(FOMC)が開催されるため、時価会計の見直しを含む金融対策についての言及などに期待感が高まりそうだ。

  政府・与党が検討する株価対策への期待も相場を支えそう。銀行等保有株式取得機構は11日、銀行と企業の持ち合い株式を買い取る業務を再開すると発表した。取得枠を20兆円に拡大し、12日から取得する。東海東京調査の中井氏は、「与党の解散・総選挙の時期が5月になる可能性が高まる中、政府は節目である日経平均7000円を何としてでも維持するだろう」との見方を示す。

         銀行より外国人保有株取得機構を

  もっとも、外国人からの売りは続き、相場の戻りは限定的になりそう。東京証券取引所によると、3月第1週(2-6日)の外国人の売越額は東証、大証、名証の1・2部合計で5571億円と、昨年3月2週(9226億円)以来、1年ぶりの高水準となった。売り越しは8週連続。

  ビスタマックス・ファンド・アドバイザーズの藤原正邦CEOは、「膨張させてきた信用の破裂は実体経済にも影響を与えた。投資家は、市場に戻ってきてリスクを取れない状況が続いている」と話し、世界的な信用収縮、資産圧縮の動きは続くとしている。

  外国人は2003年以降、日本株を差し引き32兆円買い越した。市場では、足元は米政府による米金融機関へのストレステストの影響が出ているとの見方が多い。査定の結果、資本調達が必要と判断された銀行は6カ月以内に増資をしなくてはならず、バランスシート圧縮の動きが継続しているためだ。東海東京調査の中井氏も、「こうした外国人の動きは続こう。目先の相場は極端に弱気に傾いた国内勢の買い戻しで上昇する可能性はあるが、政府は銀行ではなく、『外国人保有株式取得機構』を作るべきだ」と提言する。

  来週の日本株に影響を与えそうな材料では、17、18両日に日本銀行が金融政策決定会合を開催、企業に対する支援策などが注目される。米国では17日に2月の生産者物価指数(PPI)、住宅着工・建設許可件数、18日に消費者物価指数(CPI)が発表される

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