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2009年3月12日 (木)

欧州通貨危機の再燃は あるのだろうか?

ダイアモンドオンラインから

3月相場は「ゆうちょマネー」の動向がカギを握る

とうとう、米国のシティグループが実質的に国有化されます。

 米政府は現在保有するシティの優先株のうち、最大250億ドルを議決権のある普通株に転換し、シティ株の最大36%を保有します。また、シンガポールの政府系ファンド(SWF)であるGICや、サウジアラビアのアルワリード王子ら海外投資家も優先株の転換に応じる見通しです。

 米政府やSWFなど政府系の持ち分合計は54%と半数を超え、さらに08年前半に公募優先株を購入した株主の比率が21%ですから、転換後は金融危機後に増資に応じた株主が75%と、議決権の4分の3を握る株主構成となります。

 実質国有化を受け、2月27日のシティの株価は1.50ドルと、前日比0.96ドル(39.02%)安となりました。大幅な希薄化が嫌気された格好です。また、ムーディーズはシティの格付けを従来の「A2」から1段階引き下げ「A3」とし、S&Pは格付けを「A」に据え置いたものの、見通しをネガティブに変更しました。

 ですが、シティへの政府の関与が一段と増したことで、シティ破綻リスクは大幅に後退し、且つ、不良債権処理がスピーディーになる可能性が高まったと、今後、ポジティブに評価されることでしょう。

 なお、米金融株が反発に転じるのは、「ストレステスト」終了後でしょうね。米政府は4月までに大手銀のストレステストを実施し、公的資金も活用して、金融機関に対して十分な水準の資本を確保させることを目指しています。

 テスト終了後、一体いくらの公的資金を注入すれば、大手銀が十分な水準の資本になるかの「総額」が判明すれば、金融株は底入れする可能性が高いとみています。逆に「総額」がわからないうちは、希薄化懸念で、不安定な動きを続けるでしょう。

ゆうちょ銀行マネーが
金融危機対策に使われる?

 一方、日本ですが、ゆうちょ銀行が、第一生命保険に対して資本増強につながる劣後ローンを500億円供与する方向で最終調整に入ったと報じられています。

 ゆうちょ銀行では、民営化前は認められていなかった株式の直接売買が07年12月から可能になるなど、運用の自由度が高まりました。しかし、200兆円規模の郵貯マネーのうち、大半を国債が占めています。08年9月末の資産構成では76.1%が国債です。

 今後、政府・与党はこの郵貯マネーを活用した金融危機対応策を打ってくる可能性が高そうです。まずは、金融機関の資本増強となるようですが、今後は、個人・法人向け融資解禁、さらには、株価対策用資金にも活用されるかもしれません。

 民営化されたとはいえ、現時点では、政府が100%株式を保有する持ち株会社(日本郵政)の子会社ですからね。表向きはともかく、実際のところは、政府の意向に沿った資産運用をせざるを得ないでしょう。

欧州通貨危機の再燃は あるのだろうか?

今週は、欧州などで追加利下げが見込まれています。これを受けて、欧州通貨の一段安再燃となるのでしょうか。そしてクロス円(※)全体はふたたび急落に向かうのでしょうか。それを考える上で、私は対日金利差に注目したいと思っています。

(※編集部注:「クロス円」とはドル以外の通貨と円との通貨ペアのこと)

日独長期金利差でユーロ
反発はうまく説明できる

 前回のレポートでも書いたように、2月中旬にかけてユーロ/円は115円前後まで急落しましたが、このきっかけは中東欧通貨危機などとされていました。ところが、このユーロ急落は2月中旬で一巡、その後は一転して最大126円までユーロ急反発となりました(「2・17「中川ショック」などから、円の「安全神話」がついに崩壊!」参照)。

 急落のきっかけとされた中東欧通貨危機が終わったわけではないでしょう。それどころか、この問題は最近もくすぶり続けており、一部中東欧諸国の懸念は一段と深刻化しているようです。

 にもかかわらず、ユーロが反発に転じた動きをうまく説明できるのは金利差であることを、私は前回のレポートで紹介しました。日独長期金利差(※)の「ユーロ優位」は、2月中下旬に1.7%割れで縮小が一巡し、一時1.8%超へ拡大しました。金利差「ユーロ優位」縮小の中でユーロは売られ、「ユーロ優位」再拡大でユーロ反発となったわけです。

(※編集部注:「長期金利」の代表は10年物国債の利回り。「日独長期金利差」とは、「ドイツの10年物国債の利回り」から「日本の10年物国債の利回り」を引いた数字のこと)

Fx_yoshida2001

 このようにユーロ/円の動きをうまく説明できる日独長期金利差ですから、今後のユーロ/円の行方を考える上でも、日独長期金利差に注目してみたいと思うわけです。金利差「ユーロ優位」は、果たして再び1.7%を大きく下回って縮小に向かうのかどうか…。

 ところで、この日独長期金利差「ユーロ優位」1.7%という水準は、かなり長い間、日独金利差の下限になってきたようです。

 過去20年間について調べたところ、金利差「ユーロ優位」が1.7%を割り込んだのは一時期しかありませんでした。その意味では、基本的には日独長期金利差「ユーロ優位」は、かなり下限に近いところまで縮小したと言えそうです。

Fx_yoshida2002

 同じようなことが日英長期金利差についても言えそうです。

欧米の評価が変わってきた日本の「失われた10年」

日本のバブル崩壊後のマクロ経済のパフォーマンスに対する欧米のメディアの評価が変化している。

 英「エコノミスト」誌2月14・20日号は、米ワシントンDC駐在記者の「日本より悪い?」という記事を載せている。

 ポイントを紹介すると、IMFによれば、過去の金融危機における銀行の不良資産のGDP比はスウェーデン13%、日本35%だった。一方、ゴールドマン・サックスが推計した今回の米国銀行の不良資産はGDPの40%に達するという。

 スウェーデンの金融危機では、不良資産は少数の大銀行に集中していた。しかし、今回の米国の問題は、表の銀行システムだけでなく、投資銀行やヘッジファンドなど「陰の銀行システム」も深刻な困難を抱えている。

 日本ではバブル崩壊後に、企業がバランスシート調整のために債務を返済し、貯蓄を増やした。代わりに日本政府は需要を支えるため財政赤字を膨張させた。米国政府は、当時の日本以上に財政刺激策を長く行なう必要があるだろう。

 日本の経験をこれまで軽く見ていた米国の政策決定者の態度は、おそらく誤りとなる。この10年の日本の平均成長率は年率1%しかなく、政府債務がGDPの80%に達している状況は誇れるものではない。

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