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2009年3月17日 (火)

米国の “過剰消費体質”は変わる?

日経ビジネスオンラインから

米経済、今年後半に持ち直しへ

米経済は2008年第4四半期に急激に落ち込んだ。最近の経済指標からは、今年第1四半期に入っても景気は明らかに弱い状況のままであることが読み取れる。第1四半期の実質GDP(国内総生産)は年率換算で約5%のマイナス成長となり、この傾向は恐らく第2四半期に入っても変わらないだろう。

 現在は経済指標も悪く見通しも暗いが、今年後半にはわずかながら経済成長はプラスに転じ、2010年にはさらに回復が進むと筆者は予想する。それほど強い拡大基調にはならないと考えているが、経済は落ち込みから抜け出し、成長を開始するはずだ。

 景気後退から脱却するうえで、3つの要素が相乗効果を発揮すると考えている。すなわち、財政政策による経済活動の押し上げ、金融政策による資金供給拡大での需要の喚起、そして民間部門の低落傾向からの脱却である。

GDPの3%に相当する財政支出

 バラク・オバマ米政権と米議会は、経済を成長軌道に戻すために思い切った財政政策に乗り出している。2月に議会が承認した財政支出と減税による景気対策の規模は、GDPの約5.5%に相当する(対策の実施は2年間にわたるため年換算では約2.8%)。この景気対策の有効性についてエコノミストの評価は大きく分かれているが、大半の意見は好意的だ。

 オバマ大統領の経済政策顧問は、財政政策への伝統的な見方に基づき、米議会で可決された景気対策法案は、景気対策を行わない場合に比べ2010年末までに実質GDPを3.7%押し上げると予想されている。さらに、景気対策で370万人の雇用が創出、または維持され、対策を実施しなかった場合に比べて失業率は1.8%下がるとの予想を示した。

 大統領の経済政策顧問の見方なので評価が甘めかもしれないが、予測は米議会予算局(CBO)が、財政政策の効果に関する一般に受け入れられている調査研究に基づいて算出した推計の範囲内に収まっている。

 景気対策にはかなりの景気浮揚効果があるだろうが、米経済の最近の急激な落ち込みぶりからすると、恐らくこの景気対策だけでは経済活動の落ち込みによる悪影響を完全に打ち消すことは難しい。だが、政府は不良資産救済プログラム(TARP、最近「金融安定化計画(FSP)」に改称)による支援策も講じている。

FRBと米財務省が共闘

 TARPについては批判も多かったが、批判の内容はTARPによる明確な改善が金融市場に表れなかったことに対する失望感に過ぎない。筆者は、金融市況をこれ以上悪化させないためには有効な策だと考えている。

米国の “過剰消費体質”は変わる?

世界的な経済危機の引き金となったサブプライムローン問題。この問題の根底には「米国の過剰消費体質があった」という話をしばしば耳にします。今回は、米国の過剰消費体質とは具体的にどんなものか、その体質は是正されるのか、また、是正されることによって、世界経済はどのような影響を受けるのかについて考えてみます。

クレジットカード保有「1人8.6枚」、残高5000ドル

 まず、米国人の消費行動の特徴を改めて、見てみましょう。

 米国の消費者は、驚くほど借金に頼った消費をしています。その象徴がクレジットカードです。米国では、商品やサービスの購入に際して、クレジットカードが重要な役割を持っています。米国人はクレジットカードを使って借金をしながら消費していると言っても過言ではありません。

 クレジットカードと一言で言っても、米国と日本とでは違いがあります。米国のクレジットカードとは、クレジットカードで購入した金額のうち、(一括払いもできますが)ある一定の金額を払えばよいという仕組みのものを指します。これは、日本の「リボルビング払い」を想像してみれば分かりやすいでしょう。一方、翌月一括払いで支払うカードは、米国ではクレジットカードの特別版である「チャージカード」といい、クレジットカードとは別のものを指します。

 米商務省センサス局の2006年の統計によると、何らかのクレジットカードを持っているのは1億7000万人。また、米国内で保有されているカードの枚数は合計14億8800万枚です。1人当たり8.6枚、20歳以上人口で割った場合は、1人当たり6.9枚のカードを保有しているということになります。また、カード保有者1人当たりで見たクレジット残高は5123.5ドル(約50万円)です。

 一方、日本の場合は、日本クレジット産業協会調べによると、2008年3月末で発行済みクレジットカードは3億859万枚。これを20歳以上の人口で割ると、1人当たりの保有枚数は3枚程度です。また、日本のクレジットカード会社によるアンケート調査()によれば、カード保有者の9割を超える人が1回払いで支払っています。

 このように、米国人が保有するクレジットカードの枚数やクレジット残高は、日本と比べるとかなり多いと言えます。

 ※三菱UFJニコス(2006年5月)「第14回クレジットカードについての消費者調査」

稼いだ以上のお金を消費に回す米国家計

 次に米国の家計部門の消費と貯蓄の動きを貯蓄率から見てみましょう。

 貯蓄率とは、家計部門が受け取る可処分所得に占める貯蓄の割合を見たものです。図1を見れば分かるように、米国家計の貯蓄率は、1980年代以降一貫して下がり続け、今回の金融危機の直前である2005~06年にはほとんど「ゼロ」となっています。 Graph01

 貯蓄とは可処分所得から消費を引いたものです。貯蓄率がゼロであるということは、貯蓄がゼロということであり、可処分所得と消費がほぼ等しいことです。可処分所得と消費との割合を「消費性向」と呼びますが、貯蓄率がゼロとは、消費性向が100%ということ。簡単に言えば、稼いだ所得をすべて使ってしまうということです。

 しかも、この統計は全家計の平均です。家計の中には貯蓄率がプラスの世帯も多いはずです。かなりの家計は、貯蓄率がマイナス(消費性向が100%以上)、つまり、稼いだ金額よりも消費する金額の方が多い状態であることになります。

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