新年おめでとうございます。
今年は世界経済にとって正念場の年。投資環境も昨年以上に厳しくなるでしょうが、待ち受ける障害をよろよろ交わしながら上手に泳いで行きましょう。
今年のポイントは1/20発足するオバマ政権!!期待通りor期待以上の思い切った強力で大胆な政策を発表、実行することを期待する。
万が一期待外れになると世界不況・恐慌に陥り、新興国では政情不安は大きくなり混乱を極め、デモ、テロ、内戦、最悪な場合は国際戦争も起こりかもしれない。
その見極めが春ごろか?
景気回復の時期については
- -楽観派- 2009 4-6底 後半から回復
- -悲観派- 全治3年
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では今年初めの記事はフィナンシャル・タイムズのコラムから
World Economy in 2009: Three priorities for recovery
===世界経済、回復への3つのプライオリティ(優先すべき事項)===
By Wolfgang Munchau (元フィナンシャル・タイムズのドイツ語版共同編集長)
2009年の経済を予測するのは、簡単でもあるし難しくもある。米国や欧州やアジアのほとんどにとって、ひどい年になるだろうと予測するのは簡単なことだ。先進工業国は各国連動してひどい景気後退に陥るだろう。世界的な国内総生産(GDP)もおそらく1930年代以来初めて、縮小するだろう。これを避けたくても、私たちにできることはあまりない。
来年の経済予測で難しいのは、政策決定者たちがどこまで実行できるかどうかだ。不況がいよいよ恐慌にまで悪化するのを回避し、2010年からの持続可能な回復のための基礎づくりができるのかどうか、予測するのは難しい。これについて私がほぼ確信をもって予測できるのはただ、各国政府の対策がとても重要性を増すだろうということのみだ。
今の経済をどんどん悪化させているマイナスの力は、「デレバレッジ(レバレッジ解消)」。それは分かっている。借金過多の家計や資金不足の銀行が、賃借対照表(バランスシート)を調整しているのだ。借金過多の家計の場合は、貯蓄することで。資金不足の銀行の場合は、貸し出しを抑制することで。このプロセスがほぼ完了するまで、持続的な経済回復などあり得ようもない。
その段階に至るまでにはまだかなりかかる。たとえば私の計算では、長期的な価格推移に立ち返り、住宅価格/家賃比率がもっと持続可能な水準に回復するには、米国住宅市場の実勢価格が最高値から最安値まで40~50%の幅でぐるりと一巡する必要がある。私たちはこのプロセスの真ん中あたりまでやってきた。幸いなことに、ほとんどの名目調整は2009年末か2010年初頭までには終わるだろう。
しかし金融セクターについて私はもっと悲観的だ。金融セクターもやはりレバレッジを減らしてはいるが、さらに大量の公的資金の注入がなければ、持続可能なポジションを素早く回復することはできないだろう。しかしそのためには、大々的かつ根本的な再構築が必要となり、それには時間もかかる。
①こうやってざっくりまとめた概観をもとに結論すると、2009年に優先するべき政策課題は3つある。各国の中央銀行はデフレを回避しなくてはならない(The first is for central banks to avoid deflation)――というのが、一つ目の優先事項だ。中央銀行は今この時こそ、物価安定を目指さなくてはならない。物価安定とここで言うのは、欧州的な意味合いでだ。つまり、年率2~3%という小幅ではあるが確実にプラスなインフレ基調を確保しなくてはならないという意味だ。実施されている諸政策の規模や威力を思えば、各国の中央銀行はこれを達成するだろうと思う。
しかし私が心配なのは米国で、米国はかなり後になってからインフレ率を上げようとするのではないだろうか。そうすれば米国の財政赤字の実質水準は減るけれども、為替レートや資金フローなどの面でとてつもない歪みが生じ、ひいては新たな国際金融・経済危機を引き起こしてしまう
②二つ目の優先事項は、金融セクターを縮小することだ(The second priority is to shrink the financial sector). 。金融部門が無秩序に破たんなどしたら、それは壊滅的な状況となるが、だからといって今の過剰な規模で金融部門がこのまま持続することは、望ましくもなければ可能でもない。たとえば、債務不履行のリスクを保証する金融商品「クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)」の市場はどうだ。国際金融の安定に対するとてつもないリスクをはらみながら、市場参加者が金儲けできるという以外に何の経済的な意義もない、50兆~60兆ドル規模の無規制なカジノではないか。私は原理原則として、経済的な意義のあるなしに基づいて金融活動を規制しても構わないと思っている。経済的な観点でいうと、CDSは保証としての機能を果たしているので、だったら保証として扱い規制すればいい(そうしたらもちろん、CDSは機能しなくなるのだが)。
さらに言えば、当局は金融業界をあまり事細かに規制しようとしない方がいい。そんなことをしても、規制当局が負けるに決まっている。ガチガチに決められた規制ルールの適用を回避するために、既存の金融手段を使ったり新しいのを作ったりすることにかけて、金融セクターは実に長けている。それよりも注力すべきなのは、「倒産するには大きすぎる」などという銀行を分割すること。あるいは、一国の金融部門の規模を、その国のGDP規模に見合ったものに縮小することだ。特に、国の経済規模の何倍にもふくれあがった銀行部門の債務高を国が保証するなど、止めるべきだ。
③今起きているのは世界的な危機で、危機の余波も様々な形で世界中のあちこちで派生する。だからこそ、対策は世界レベルで調整しなくてはならない。これが3つ目の、そしておそらく最重要な優先事項だ。(Third, and perhaps most important, we need to co-ordinate the policy response at global level, since this is a global crisis with many global spillovers.)
バラク・オバマ次期米大統領の経済チームから聞きたいのは、刺激策の総額が7000億ドルになるのか8500億ドルになるのかという狭量な議論でもなければ、それをどういう事業に使うかと言う議論でもない。私がそれよりも知りたいのは、アメリカの新政権が、共同戦略にどうやって欧州や中国を取り込むつもりなのかということだ。
一方で各国政府は、インフラ整備や教育にこれまで以上に資金をつぎ込むような真似はしないほうがいい。そうすれば何かの解決につながると期待してのことかもしれないが、そこで解決される問題は、私たちが今すぐ直ちに解決しなくてはならない問題とは違う。
それに今のところ、本当の意味での政策協調が見えていない。これは諸外国との協調がなければ検討もしなかっただろう政策を、実施するという意味での政策協調だ。少なくとも欧州では現在、政策協調プロセスは逆のベクトルで動く。つまり各国政府がそれぞれ単独に、自分が何をやりたいか決めた後、欧州連合(EU)のレベルに持っていって「政策協調」という外見を整えるのだ。
経済が大破局を迎えるという、ありえそうなシナリオを組み立てるのは難しいことではない。これから並べる展開のいくつかを選んで組み合わせれば、現代史のあらゆる記録を塗り替えるひどい恐慌に見舞われるかもしれない――。
・世界的な保護主義の台頭
・各国が競い合って通貨を切り下げ
・ポンド危機
・中国の政情不安につながる社会不安
・ここぞというタイミングで起きるテロ攻撃
・ユーロ圏の指導者たちがいつまでも協調を拒否し続ける
・ユーロ圏の大国で支払い不履行が起きる
・新興市場の急落
・各国の金融政策がいつまでたっても協調されない
・CDS市場が破たん
このほか言うまでもなく、巨大な国際的金融機関が債務不履行に陥ったり、ヘッジファンド業界が壊滅したりしたら、それはもちろん見逃せない事態となる。
あるいはこうして破局を迎えるのではない、別の道もある。つまり、2009年不況の拡大をなんとか押さえ込んで、その間に派手さはないが着実で持続可能な回復の基礎をひたすら敷いていくことだ。それこそが、最良の展開だ。
しかしそのためにはまず、国際経済とはそれを構成する各パーツの単純な総和ではない、それ以上のものなのだと認識する必要がある。ということは各国の政策決定者はもっと賢くなり、協力し合い、そして既成概念にとらわれない自由で新しい発想をする必要がある。しかし政策決定者というのは元来、そういう風には動かないもの。そこが問題なのだ。
---参考記事---
Wolfgang Münchau氏の過去の記事です。Wolfgang Münchau氏はかなり早い時期から危機到来を警告しています。
◎Sarkozy’s attempted EU coup fails – for now
By Wolfgang Münchau Published: October 26 2008 19:15
仏サルコジ大統領の欧州大統領への企てについて
◎The case for a European rescue plan
By Wolfgang Münchau Published: October 5 2008 19:16
ユーロ圏救済プランについて
◎Recession is not the worst possible outcome
By Wolfgang Münchau Published: July 6 2008 17:53
リセッションは起こり得る最悪な結果ではない。。。
By Wolfgang Münchau 2008年1月17日
もし、今の危機が単なるサブプライム危機であれば、そろそろ終わっているはずだ。だが、実際まだ終わっていないし、近く終わりそうな気配もない。信用市場には、ほかにも脆弱な部分があるからだ。
サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)と似た市場規模を持つクレジットカードがその1つ。もう1つがクレジット・デフォルト・スワップ(CDS)である。
CDSは債券投資家がデフォルト(債務不履行)に対して保険をかけられる比較的新しい金融商品で、こうしたプロテクション(保護)の売り手は、保険金額の数パーセントをプレミアム(保険料に相当)として受け取る。
米経済の3倍の規模を持つCDS市場
CDS市場には約45兆ドルの価値がある。想像するのも難しい数字だが、45兆ドルというのは、米国の年間GDP(国内総生産)の3倍以上に上る金額だ。経済的に見れば、CDSは保険だが、法的にはそうではない。CDS市場がほとんど規制されていないのは、このためだ。
テクニカルに見れば、CDSはスワップ(交換)で、売り手と買い手が支払いの流れを交換する。一方はプロテクションを得るために一定のプレミアムを支払い、もう一方はデフォルトが起きた場合に損失額を支払う仕組みだ。
デフォルト率が低い時は、こうしたプロテクションを売ることは、リスクの小さい安定的な収入源と見なされる。しかし、デフォルト率が上昇すると、CDS契約に基づく支払い義務も増える。デフォルト率が一定の水準に達すると、プロテクションの売り手の一部は支払い責任を果たせなくなり、自らデフォルトしたりする。
結局、CDS市場の健全性はデフォルト率にかかっていると言っていい。そして、デフォルト率は経済情勢に左右される。
世界の2大CDS市場は米国と欧州。今、米国経済は急激な減速に向かっており、景気後退に陥る可能性もあるというのが、米連邦準備理事会(FRB)も含めた大方の見方だ。ユーロ圏経済も、米国ほど深刻ではないかもしれないが、減速に向かっていると見られている。
全米経済研究所(NBER)によると、2001年の景気後退局面を除くと、米国の過去の景気後退局面の平均継続期間は11カ月。2001年は短期間で終わったため、このケースを含めると平均値は10カ月程度まで縮まる。
信用収縮によって景気後退が悪化
米国は運がいい方だった。例えばドイツは2000年初頭から景気が減速。実に15四半期も続く長期低迷となり、その間に2度、テクニカルな景気後退局面もあった。面白いのは――そして今日の議論に最も重要なのは――、ドイツの景気後退は信用収縮によって悪化したという事実だろう。ドイツの銀行は10年に及ぶ過剰融資の末に、バランスシートを一掃したのだ。
ドイツの経験は、金融市場のカネの流れに厄介な問題が生じると、長期にわたる景気低迷を招くことを我々に教えてくれている。今、最も重要な問題は、米国が急激な景気減速を避けられるか否かではない。恐らくは、避けられないだろう。もっと重要なのは、こうした景気減速や景気後退がどれだけ続くかという問題である。
最も楽観的なシナリオは、短期間で済む、緩やかな景気減速だ。2番目にいいシナリオは、深刻ながらも、期間は短くて済む景気後退だろう。
本当に恐ろしいシナリオは、長期に及ぶ景気後退だ。米国も過去に長い景気後退を経験している。例えば1973年11月に始まり、75年3月まで続いた景気後退局面がそうだ。しかし、当時はCDS市場が存在していなかった。
債券の帝王ビル・グロス氏の試算
では、こうしたシナリオはCDS市場にどんな影響を与えるのだろうか。世界大の債券ファンドを運用する米ピムコのビル・グロス氏は1月上旬、興味深い簡単な試算を行い、話題を呼んだ。彼の試算では、デフォルト率の上昇によって引き起こされるCDS絡みの損失は2500億ドル以上になるという。サブプライム危機によって発生する推定損失総額に匹敵する額である。
計算の根拠はこうだ。グロス氏はまず、企業のデフォルト率(ここでは、投資適格級の社債及びジャンク債の発行残高全体に対するデフォルト率を採用)が通常レベルとされる1.25%に戻ると仮定した。そうなると、CDS市場は45兆ドルの規模があるため、CDSの保険金としてざっと5000億ドルの支払い義務が生じる。プロテクションの売り手は、その一部は取り戻せるだろうから、実際の損失はその半分程度になる――というわけだ。
無論、この試算は非常に大雑把なものだ。だが、重要なのは、この試算は米国の景気後退局面が長期化しないと仮定している点だ。仮に長期化すれば、デフォルト率は通常レベルに戻るだけでなく、一気にそれを超えて上昇する可能性がある。
グロス氏の試算は起点として考えるといいだろう。実際、米経済の減速局面が2年も続くようであれば、2500億ドルの数倍にも上る支払い義務が発生しかねない。
ここで、この議論は無意味だと結論づけたくもなる。というのも、CDSはただの保険であり、結局、ゼロサムの金融ゲームにすぎないからだ。カネはそこにあって、別の誰かが手にしているだけだ。しかし、最近の金融市場における流動性を考えると、それは甘い考えである可能性がある。
サブプライム危機よりも怖いCDS危機
もしプロテクションの売り手が一斉にデフォルトすれば、保険をかけて、損失から守られていると思い込んでいた買い手の一部もデフォルトするだろう。CDS市場の規制の緩さを考えると、各契約に十分な流動性が保証されているかどうか分からない。
CDS市場が深刻な金融危機を招く可能性があることは容易に理解できる。サブプライム危機によって、世界の金融システムはあわや不安定化するところだった。もし悲観的なシナリオが実現すれば、CDS危機は世界的な金融崩壊の引き金を引くかもしれない。
これは、今後何が起きるか予測するものではなく、あくまで不確かな1つのシナリオにすぎない。しかし、それは長期に及ぶ深刻な景気後退という、決してあり得なくない出来事に付随するシナリオなのだ。
***Wolfgang Münchau氏のブログです。***
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