投信運用最大手フィデリティはどのように金融危機の荒波を乗り切ったか
モーニングスターのコラムです。
投信運用最大手フィデリティはどのように金融危機の荒波を乗り切ったか
投信運用世界最大手のフィデリティ・インベストメンツが運用する投資信託は金融危機の荒波をうまく乗り切ったようだ。一般的に、バリューファンドは金融銘柄の構成比率が高いため、クレジット市場危機の影響でパフォーマンスが急激に悪化したが、フィデリティの場合、成長株重視の運用を目指しているため、金融株の比率は低い。実際、08年8月時点で、国内外の株式に投資する同社ファンドの54%は他社の類似ファンドに比べ金融株の組み入れ比率が平均以下に抑えられている。
また、フィデリティは今年の春から夏にかけて、懸念される金融株を処分しており、第2四半期(4―6月)には、リーマン・ブラザーズ(9月に破産)株式の保有比率を20%削減。モルガン・スタンレーやメリルリンチ、シティグループについても四半期決算が悪化する前に持ち高を減らしている。大型成長株への投資に特化している「フィデリティ・コントラファンド」の運用マネージャーのウィル・ダノフ氏は自ら企業に出向いて情報収集することで有名だが、金融機関から聞かれるのは悪い話ばかりで、金融株は買えないと7月の時点で語っていた。
エネルギーやハイテク銘柄の下落で、コントラファンドのリターンはマイナスとなっているが、それでも、金融銘柄への投資を控えたおかげで、大型成長株ファンドの中では優れた投資成績を残している。
一方で、フィデリティの金融銘柄に関する調査能力が良いかどうかは疑わしい。その最大の根拠は、アナリストのリチャード・マニュエル氏とベンジャミン・ヘッセ氏が運用する金融株への投資に特化した「フィデリティ・セレクト・フィナンシャルズ・サービシズ」の11月14日時点の12カ月リターンがマイナス55%になっていることだ。フィデリティが全体的にリーマンやモルガン・スタンレーなどの金融セクターの保有比率を減らしていた夏の同じ時期に、マニュエル氏は逆にポジションを増やし、さらに、8月にはその後、国の管理下に入ったファニーメイ(米連邦住宅抵当公社)や身売りしたワコビアの株の取得を増やして損失を出す羽目に陥っている。
その後、同ファンドにヘッセ氏が共同運用マネージャーとして加わったことで、今後は同氏の手腕が試されそうだ。マニュエル氏は2月に、後に経営危機でJPモルガン・チェースに買収されることになるベアー・スターンズの株式を買っていたが、ヘッセ氏は反対に、当時運用していたファンドでベアーの全株を売却し、難を逃れている。
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