アメックス 第3四半期の一株利益は0.70ドル。予想は0.59ドル
米メリルとバンカメ、合併後に数千人削減
アイスランド、IMFからの支援含む60億ドルの救済策発表へ
日経ビジネスONLINEのコラムから
安心と不安が交錯するアジア市場
高みの見物のアジア金融当局
今回の世界的な金融危機は米国で発生した後、欧州各国は第2の震源地になるのを回避すべく、米国以上の公的資本注入を打ち出しているが、アジアではまるで高みの見物をするかのように、それほどの積極的な対策は打ち出されていない。オーストラリア、ニュージーランドに続いて中国市場の前線基地とも言える香港で10月14日(火)、銀行預金の全額保護措置を発表した程度だった。
これは地元の銀行で取り付け騒ぎがあったことに対応したもので、政府は「各銀行の財務状況は健全で、今回の措置は混乱を未然に防ぐため」と発表した。つまり、防衛的な政策であり、明らかに欧米政府のように資本注入のような全力での対策とは温度差が見られる。
背景には、アジアにはサブプライムローン(米国の信用力の低い個人向け住宅融資)問題への関与が少なかったこと、金融収縮の影響がそれほど深刻でないこと、あるいはアジア経済がかつてほど米国に依存していないことがあろう。さらに、中国などアジア10カ国(日本除く)の外貨準備高は、今年8月末で3兆2520億ドル(約325兆円)に達し、アジア通貨危機当時の1997年末と比べて5.7倍に急増、金融システムがかなり強化されていることもあろう。
今回、欧米合わせて60兆円余りが資本注入されるとされるが、この額と比べても、この外貨準備の規模はあなどれない。しかし、アジア株の下げを見ると、市場参加者はとても強気になれない。シンガポールや韓国に続いてアジア経済の要を担う中国で、足元の景気が悪化し始めているからだ。
また、中国ではマクロ経済統計にはまだ、あまり表れていない。8月の小売り売上高は、五輪効果もあって前年比23.2%増と、今年最高だった前月の23.3%増にほぼならぶ好調な伸びを見せている。しかし、9月のマネーサプライが同9.4%増と前月の11.5%増から低下、昨年同月の22.1%から大きく減速している。ミクロ的にはさらに深刻な様子が見える。
「玩具メーカーの半分は消えてなくなる」
10月13日、国営新華社通信は「今年は玩具メーカーの半分は消えてなくなる」との衝撃的なニュースを伝えた。今年1~7月で玩具輸出業者の52.7%に当たる3631社が倒産したというのだ。
中小企業が多い中国の玩具メーカーはここにきての人件費の上昇に加え、通貨人民元の上昇、さらにはクリスマス商戦に向けての米国向けの受注停滞、それに、ここにきてにわかに高まってきた中国製品への品質改善要求が厳しい、と同通信は伝えている。必ずしも米国経済の後退だけが要因ではないが、こうした状況は食品や電気機器など他の産業にも通じる。
米国経済への依存度が高い、シンガポールや韓国はさらに厳しい。シンガポールでは今年第2四半期(4~6月)の実質GDP(国内総生産)が前期比・年率-5.7%(前年比では+2.3%)となったのに続き、10月10日に発表された第3四半期(7~9月)政府推計値が同-6.3%(前年比は-0.5%)と2期連続のマイナスとなった。定義でいうところのリセッション入りだ。第3四半期は製造業の生産が11.5%もの落ち込みを見せた。
韓国も深刻だ。顕著なのは為替に表れている。韓国ウォンの対ドル相場は年初の936ウォンから10月8日に1397ウォンと33%下落しており、主要国では最大の下落を見せている。おかげでインフレが深刻だ。6~9月の消費者物価は3カ月連続で5%を超え、昨年同時期の2倍の上昇率に跳ね上がっている。
問題は輸入物価だ。韓国中央日報によると、急激なウォン安により、10月に入って牛肉、缶詰、バナナ、ワインが10~20%値上げされた。家計の負担が増えていることで9月の百貨店売上高は前年比-0.3%と今年初めてのマイナス成長を記録している。首都ソウルでは新築マンションの売れ残りが目立つという。
解約要請にも現金を用意できない
こうした動きから、1997年のアジア通貨危機を想起する向きも少なくない。当時通貨の下げが大きかった韓国、タイ、インドネシアでいずれも為替が弱い。それに、ここにきての、タイの政情不安である。政権抗争が激しくなっており、軍事クーデターの可能性もささやかれている。国際的な投資資金がアジア新興国市場から流出するはずだ。
それでも、シンガポール在住の
ヘッジファンド責任者は「顧客からの解約要請に対応するために現金化しているが、流動性が増えない新興国は、売りたくても売れない状況が続いている」という。欧米金融危機は、対岸の火事ではなさそうだ。
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毎日新聞のレポートです。
金融崩壊収束せず 「金融恐慌」寸前 世界を震撼させた数週間
◇「金融恐慌」寸前 世界を震撼させた数週間 米欧とも「銀行国有化」へ
世界の株式市場が歴史的な崩壊の淵にある。追い込まれた欧米当局は、包括的な市場安定化策を次々と打ち出し、ついに最終手段ともいえる公的資金注入による「銀行国有化」に踏み切った。これで「金融恐慌」はかろうじて回避されたかに見えたが、それも束の間。今度は世界的な景気後退懸念の高まりから、再び株価は暴落に転じている。「100年に1度の金融危機」(グリーンスパン前FRB議長)の谷は深い。【枝川二郎(金融アナリスト)/週刊エコノミスト編集部】
「前例のない大胆な対策だ」
ブッシュ米大統領は10月14日、公的資金で米大手金融機関9社などに総額2500億ドル(約25兆円)の資本を注入することなどを柱とする金融危機対策を発表し、こう強調した。
同3日に成立した金融安定化法に基づき、公的資金は、米財務省が金融機関から議決権のない優先株を取得する形で注入する。このほか、中小企業などの決済用の当座預金(無利子)の一時的な全額保証や、銀行間取引を含む銀行債務の政府保証などを盛り込んだ、米政府「丸抱え」の苦肉の金融危機対策だ。
◇崖っぷちに立った米国
米国の外堀は完全に埋められていた。金融不安の高まりから、世界中の株価が10月に入ってから下げ続け、ニューヨーク・ダウ(工業株30種)平均株価(NYダウ)は6日に約4年ぶりに1万ドルを割り込み、9日には米ゼネラル・モーターズ(GM)株が実に58年ぶりの安値を付けた。10日までに週末を挟んで8営業日続落し、合計の下げ幅は2399ドル(22・1%)と史上最大級の暴落で、5年6カ月ぶりの安値となる8451ドルで取引を終えた。一時は8000ドルを割り込んだほどだ。日欧とも似たようなもので、株価は世界同時暴落の様相を呈した。
ところが、政策対応で米国は後手に回った。まず英国が10月8日、公的資金の注入を盛り込んだ包括的な銀行救済策を発表し、5日後の13日に大手3行への注入を発表。10日に米ワシントンで開かれた先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)で銀行への公的資金注入を含む行動計画の合意を経て、12日にはユーロ圏15カ国が緊急首脳会議をパリで開催。銀行間取引の政府保証など欧州各国が一体となって金融危機に対応する「共同行動計画」を発表。翌13日には、独仏伊が公的資金による銀行救済策を公表した。米国発金融危機に、欧州各国がまず動いたのだ。
米国は、手をこまねいていては欧州に資金が流出し、米金融市場が崩壊しかねない崖っぷちに立たされていた。「金融機関が健全性を取り戻すために、あらゆる手段をとる」(ポールソン米財務長官)と、自由放任から180度転換せざるを得なかった。
日本も14日、中小金融機関を対象に公的資金を予防的に注入できる金融機能強化法改正案の復活の検討に入った。同法案は麻生太郎首相が金融庁に指示し、3月に期限切れとなった同法を復活・拡充させる方向で検討しており、10月中の成立を目指している。
日米欧で公的資金注入を盛り込んだ金融危機対策が明らかとなり、世界的・歴史的な株価暴落は一応は収まったかにみえた。週明け13日のNYダウが936ドル高と史上最大の上昇幅を記録し、9000ドル台を回復。欧米とアジア株の急反発を受けて、日経平均株価も3連休明けの14日、前週末比1171円(14・15%)と過去最大の上昇率(終値は9447円)を記録。しかし、同日のNYダウは小反落し、翌15日は9月の米小売売上高が市場予想を下回ったことが嫌気されて733ドルの大幅続落となり、再び9000ドルを割り込んだ。市場の関心は金融危機から実体経済の悪化懸念に移りつつある。
◇投資銀行の“消滅”
世界の金融市場を震え上がらせた2008年秋--。金融経済史でこう振り返られるかもしれない9月以降の金融危機のなかで、象徴的な出来事は投資銀行の“消滅”であろう。ベア・スターンズは3月に破綻して米銀大手JPモルガン・チェースに吸収され、9月15日にはリーマン・ブラザーズが破綻。メリルリンチは米銀大手バンク・オブ・アメリカ(バンカメ)に吸収された。ゴールドマン・サックスとモルガン・スタンレー(モルスタ)は普通銀行に業態転換し、これで米国の大手投資銀行は姿を消した。
結果的に、世界で独立系大手投資銀行と呼べるのは、野村ホールディングスを残すのみとなった。 M&A(企業の合併・買収)仲介ビジネスなどは今後もなくならないとの見通しから、野村は破綻したリーマンのアジアと欧州・中東の人材を引き継いだ。
ところで、ゴールドマンとモルスタは本当に銀行に変われるのだろうか。金融経済が高度に発展し、経済の中枢を担った投資銀行が姿を消した後の米国はどうなるのか。
前者に関して結論を急げば、看板をかけかえたところで、実態がすぐに大きく変わることはないだろう。ゴールドマンは収益に占める引き受けなどの法人向け証券業務の割合が低く、収益の中心はトレーディング(自己勘定投資)だった。投資銀行というよりもヘッジファンドというほうが似つかわしい。モルスタも同様だ。現在、両社とも稼ぎ頭だったトレーディングを含むほとんどの業務が不振で、先の見通しが立たない状況が続いている。モルスタのCDS(クレジット・デフォルト・スワップ、5年)のスプレッド(信用リスクの買い手に払う保険料)は10%を超える水準にまで高騰。ウォール街の「花形ビジネス」も今は昔で、市場は2社の状況がいまだ安定したとはみていない。
振り返れば、投資銀行が活躍し、存在感を高めたのは、この20年程度のこと。特にここ数年は世界的に信用リスクが低下し、リスクを取れば取るほどハイリターンをもたらす「奇跡のような時代」(投資アドバイザー幹部)だった。「強いドルは国益」(ルービン元米財務長官)と1990年代半ば以降、世界から資金をかき集めてそれを世界に再投資し、収益を上げるという意味では、米国そのものが巨大な投資銀行と化していたとも言える。その時代の終焉は、米国の「ドル支配」の終わりの始まりを告げている。
◇米国版「失われる10年」となる恐れ
不良債権の大きさと高いレバレッジ(外部負債依存)--。米大手商業銀行が直面する問題を解決するのは、容易ではない。投資銀行なきあと、シティグループをはじめ米大手商業銀行が、次の市場のターゲットと目されていた。公的資金の注入で、当座の破綻リスクは後退したが、それで米金融危機が本当に解決したことにはならない。公的資本注入だけでは、不良債権と高レバレッジ問題は解消されないからだ。
商業銀行は投資銀行に比べると、一般的には安定している。一般人から預金を預かり、中小企業中心に貸し出しをする業務は通常、安定しているからだ。政府も金融仲介機能を担っている商業銀行を安易に潰すことはできない。
だが一方で、商業銀行は住宅ローンの中心的貸手であり、また証券化商品とクレジット・デリバティブ(金融派生商品)に対する巨額なリスクを抱えていることを忘れてはならない。米通貨監督庁(OCC)の統計によると、昨年末時点でクレジット・デリバティブの残高は、シティが総資産の2・5倍、JPモルガン・チェースは同6倍だ。加えて、自己資本比率が10%前後と、事業法人に比べれば、はるかに負債依存度が高い事実にも要注意だ。金融機関にとっては、緊急時に流動性(資金)が確保できるかどうかが大きなポイントとなる。
さらにクレジット・デリバティブの残高もこれらの大手銀行に集中。米大手商業銀行33行の保有するクレジット・デリバティブの想定元本残高は、プロテクションの売り(クレジット・リスクを負っているポジション)の合計で8・1兆ドル(約810兆円、3月末時点)という天文学的数字だ。そのうち大手3行で89・1%を、米大手銀ワコビアと英HSBCを加えた5行では99・7%を占めている。要するに、クレジット・デリバティブの問題は規模が大きく、高度な金融工学のノウハウがある大手銀行に特有のものなのだ。
米政府は、サブプライムローン(信用力の低い個人向け住宅融資)などの不良債権を大量に抱える問題金融機関の処理を大手商業銀行に引き取らせる手法をとってきた。そのためシティ、バンカメ、JPモルガンの米3大銀行のバランスシート(貸借対照表)は肥大化する一方だ。例えば、JPモルガンは3月以降、貯蓄金融最大手のワシントン・ミューチュアルとベア・スターンズ、バンクワンを吸収した。つまり、「大きすぎて潰せない」状況にしているのだ。
実際に米政府は、これら大銀行を守るためにさまざな政策を導入してきた。「金融機能安定化法」を成立させ、1口座当たりの預金保険の上限を10万ドルから25万ドルに増やした。そして、公的資金による資本注入も決定。共和党的な自由放任主義を放棄し、多くの米国人が嫌悪する政府主導の解決策に打って出たといえる。
地域金融機関の破綻は、これからもある程度覚悟しなければならないだろうが、少なくとも上位行は、金融システム維持のためにも米国政府は是が非でも守ることになるだろう。
しかし、今回の公的資金注入には問題点も多い。第1に、優先株による出資で米政府が議決権を持たないことだ。米政府の関与は弱まり、たとえば、注入行が普通株の投資家に配当を払い続けることができる(増配など一部に財務省の許可が必要だが)。これでは期間利益によって短期集中的に不良債権を処理させる政策とは矛盾する。
第2に、存続させる銀行と破綻させる銀行の線引きが不明確な点だ。今回のように注入行の資産を精査せずに一斉注入すると、すべての大手行を生かすことになる。つまり、財務内容の悪い銀行を存続させることになるのだ。これでは、財務内容が悪化した銀行を延命させて不良債権処理を遅らせた90年代の日本と同じ道をたどることになる。「米国版失われる10年」となるかもしれない。
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